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【岩崎量示】第2回:現地調達で作られた橋の、〝土地に還る〟という未来

【岩崎量示】第2回:現地調達で作られた橋の、〝土地に還る〟という未来

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阿部
タウシュベツ川橋梁の存在が、世間に広く知られるようになったきっかけは何だったんですか? もともと地元ではよく知られたスポットだったのでしょうか?
岩崎
地元の人は、もちろん橋の存在は知っていました。ただ、観光スポットとしては見なされていなかったですね。わざわざ見に行くような場所でもないというか。
阿部
「あそこに昔の鉄道橋があるよね」っていうくらいの。
岩崎
そうですね。タウシュベツは、2001年に『旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群』のひとつとして北海道遺産に選定されて、2007年にはJRのフルムーンという夫婦グリーンパスのポスターに使われたんです。それで1度、ブレイクというか、少し知られるようになって。その後、また観光客は減ってきたんですけど、2017年に再ブレイクを果たしました。
阿部
再ブレイクのきっかけは何だったんですか?
岩崎
僕は12年前からタウシュベツ川橋梁の写真を撮っているんですけど、その頃から老朽化が激しかったので、「もって2、3年」と言われていたんです。要は、いつ朽ち果ててもおかしくないって。
阿部
はい、はい。
岩崎
それでも10年以上も崩落せずにいるんですけど、2017年の4月に大きく2箇所が崩れたんです。それで、「いよいよ今年で崩れるんじゃないか?」ってことで、新聞やテレビ、雑誌が次々と取材に来るようになりました。
阿部
なんだか皮肉な話ですね。崩れたことが、ブレイクのきっかけになるなんて。
岩崎
でも、ブレイクするとしたら、たぶん崩れるというきっかけしかないだろうなと思うんですよね。「古い橋があります」っていうのは、ニュースでもなんでもないので。
阿部
そうか、そうですね。だけど、保護されているわけでもないのに、崩れることが話題になるっていうのは珍しい事例ですよね。
岩崎
んー。すごく短いスパンでいえば、桜とか?
阿部
あぁ、桜かぁ。
岩崎
散っていくからこそ愛されるし、散っていく様が一番キレイみたいな感じに近いかもしれません。

 

 

阿部
タウシュベツ川橋梁は、10年以上前から崩れることが予測されているということですが、「崩壊すると危ないから取り壊そう」みたいな話にはならないんですか? 古い建物って、倒壊の恐れがあるから先回りして取り壊すってケースがあるじゃないですか。
岩崎
崩れる前に取り壊すっていう議論はあります。だけど、倒壊の恐れがある建物を取り壊すのって、崩れて二次被害があった時に責任問題へと発展するからですよね。タウシュベツ川橋梁って、崩れても誰にも迷惑がかからないんですよ。
阿部
「誰にも迷惑がかからない」というのは?
岩崎
この橋は誰のものでもないんです。
じん
誰のものでもない? 町とかが所有してるわけではないんですか?
岩崎
違うんです。もともとは国鉄のものでしたけど、ダムができる時に線路は付け替えられていますし、すでに廃線になってますからね。

ダムになっちゃえば、放っておいても誰の迷惑にもならないし、壊すにはお金がかかるということで、そのまま放置されてきたんです。

阿部
ダム側の所有物でもないんですか?
岩崎
違うんですよね。敷地の使用権は、電源開発株式会社が持ってるんですけど、橋はただそこにあるだけなんです。
阿部
〝ただそこにあるだけ〟で、所有物ではないんだ。
岩崎
そこにある切り株と同じ扱いらしいんですよ。

 
一同:へー!
 

岩崎
なので、崩れたとしても特に責任問題にはならないんです。実際に危険性が高くなれば、そうも言っていられないので取り壊すだろうとは思うんですけど、今のように観光客が見に来てますってくらいだったらギリギリセーフみたいですね。
阿部
へぇー、面白いなぁ。誰の所有物でもない橋かぁ。

 

 

岩崎
タウシュベツ川橋梁は、コンクリート製のアーチ橋なんですけど、当時はすでに鉄筋で橋を作る技術もあったんです。それにも関わらず、なぜコンクリート製になったかというと、建築資材となる鉄筋を山の中まで運搬するのにお金がかかるので、コンクリートで作った方がコストを抑えられるってことだったらしいんですよ。
阿部
確かに、森を切り開いて、建築資材を運び込むという作業には莫大な費用と労力がかかりそうですね。だけど、それってコンクリートで作る場合も同じでは?
岩崎
この橋って、建築資材のほとんどが現地調達なんですよ。
阿部
ん? どういうことですか?
岩崎
セメントは町から運んできてるんですけど、それに混ぜる砂利とか水なんかは、全部この辺のものが使われているんです。もともと川をまたぐために作られた橋だから近くに水はありますし、木枠とかも、この辺の木を切って作ってたらしくて。
阿部
へぇー! 現地調達の建築資材で橋を!
岩崎
だから、崩落しても、この土地に還っていくだけなんです。
阿部
はぁー。朽ち果てると、元あった場所に還っていくんだ。

 

 

—> 第3回:視覚的にも感じられる橋の劣化

 

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