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【岩崎量示】第5回:写真家という場所を選ばない暮らし方

【岩崎量示】第5回:写真家という場所を選ばない暮らし方

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阿部
「人工物の成れの果てを記録する」という目的だったり、「アンテナをニュートラルにして撮影する」というスタンスだったり、岩崎さんがやられていることからは、単なる記録写真というよりも、写真を通したアート活動みたいな印象を受けるんですが
岩崎
いやぁ、どうなんですかね。あまり、そういう意識はないですけど。
阿部
巨大な人工物が自然に還っていく様って、あまり見たことがないし、それを記録し続けるっていうコンセプトがちょっとアートっぽいなぁって。
岩崎
そうですかね。たまたま近くにタウシュベツ川橋梁があって、他にやる人がいないからやってるって感じなんですけどね。
だから、今でも「誰かが撮るんであれば撮ってくれればいい」って気持ちはあります。
阿部
えっ、今でもですか?
岩崎
はい。ただ、僕は12年間撮ってきて、さすがにこの先12年は橋がもたないと思うんですよ、この形では。そうなると、実際問題として僕より長く撮る人はいないかもなって。
阿部
そうですよね。
岩崎
だから、さっきも話したように、乗りかかった船っていう感覚なんですよね。

確かに、写真好きな人はたくさん撮りに来るようになったんですよ。いい写真撮るための素材としてタウシュベツを選ぶ人っていうのは、アマチュア写真家からプロの人まですごく多い。ただ、当たり前なんですけど、そういう人たちってやっぱり綺麗なところを狙いにいきますよね。そうなると、僕がやりたいこととはちょっと狙いが違うんです。

阿部
同じ橋を撮るにしても、見ているところが違うと。
岩崎
えぇ。ありのままの姿を記録するとしても、例えば帯広から毎日1時間半もかけて通うっていうのも大変だと思うんですよ。ってなると、橋の近くに住んで何年も撮り続けるっていうのは…他にやりたい人がいないんじゃないんですかね。

 
一同:(笑)。
 

岩崎
3年くらい前に、帯広三条高校の放送部の子たちが、半年くらいかけてタウシュベツとそれを撮っている僕のドキュメンタリーを作ってくれて、その作品が全国でグランプリを取ったんですよ。
阿部
おーっ! すごい!
岩崎
で、それを撮った高校生の子が「タウシュベツを撮り続けているのって素敵だと思います」って言ってくれたので、「こういうことやってみたい?」って聞いたら、「私には他に夢があります」って。

 
一同:あはははは(笑)!!!
 

岩崎
上手いこと言うなーと思いましたね(笑)。

だけど、そういうものだと思うんですよね。「写真集を出ました!」とか、「北海道観光ポスターに写真が使われました!」とか、節目節目だけで僕の話をすると、けっこういい感じに聞こえがちですけど、やってることは地味ですから。

 

 

岩崎
あと、現実的な話でいえば、糠平で暮らすっていうのもけっこう難しいんですよ。
阿部
仕事とか、経済的な面がですか?
岩崎
僕はたまたま運よく12年も住んでいられましたけど、もっと後に移住して来た人でも出ていく人は多いですね。仕事がなかったり、町内でいざこざがあったりとかで。たぶん、ほかの町でも同じようなことはあると思いますけど。
阿部
なるほど。
岩崎
今までは、そういうのを乗り越えてこれたけど、僕自身もこの先ずっと上手くいくかっていったらわからないですよね。
阿部
そうかぁ。
岩崎
こっちに来て宿で働いてた時も、糠平でお客さんが入る時期って限られていて、ゴールデンウィークと夏と紅葉の時期。あとは、年末年始くらいなんですよ。1年の3分の2くらいはすごく暇で、仕事もないってなると、暮らしていくのは大変ですよね。
阿部
そうですよね。
岩崎
かといって、街で仕事をしながら糠平に住むっていうのも、けっこう大変で。そういう状況の中で、写真を仕事にしてしまえば、場所を気にせず暮らしていけるんじゃないかと思ったんです。
阿部
場所にとらわれない働き方。
岩崎
はい。そういうことを考えていた時に、思い浮かんだのが星野道夫さんのことで。
阿部
アラスカで、動物写真などを撮影していた写真家の。
岩崎
そうです、そうです。僕、昔から星野さんが好きで、よく本を読んでいたんです。彼は、30年も40年も前にアラスカへ行って、写真を武器に仕事をしていたじゃないですか。そういう姿を見ていて、北海道でなら自分も同じようなことをやっていけるんじゃないかなと思ったんです。
阿部
国内なら少なくとも言葉の壁や、大きな文化の違いはないですもんね。
岩崎
えぇ、写真が上手くなればやっていけるかなと思って。
阿部
今はカメラマンとして、橋の写真以外にも、雑誌やイベントなどの撮影も行っているんですか?
岩崎
そうですね。雑誌の取材とか、商品撮影、ポートレート。いろいろやってます。
阿部
じゃあ、営業とかも自分でしつつ。
岩崎
いや、営業はですね…しないですね。まぁ、どこ行けばいいのかよくわかんないってのもあるんですけど。「写真いりませんか?」って言うのも変じゃないですか。

 
一同:(笑)。
 

 

 

—> 第6回:〝写真で食うために写真家らしい暮らしをする〟というアプローチ

 

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