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【岩崎量示】第6回:〝写真で食うために写真家らしい暮らしをする〟というアプローチ

【岩崎量示】第6回:〝写真で食うために写真家らしい暮らしをする〟というアプローチ

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阿部
岩崎さんって、普段はどんな暮らしをしているんですか? 毎朝写真を撮りに行く以外の暮らしぶりが見えないなぁと思って。
岩崎
あー、そうですよね。
阿部
何か趣味とかがあったり?
岩崎
ないですね、趣味っていうのは。仕事がない時は、橋の写真を撮りに行って、撮った写真を整理して、本を読んだりして。で…何してるのかな。基本的には、写真を撮るか見るかをしてますね。
阿部
なんて言うか、やっぱり暮らしぶりがアーティストっぽい気がします。
岩崎
そう言われたのは初めてなんですけど、暮らし方については考えたことがあって。っていうのも、写真をちゃんと撮ろうと思った時に、最初は何をしたらいいのかわからないじゃないですか。
阿部
誰かに写真を教わったわけじゃないんですもんね。
岩崎
そうなんですよ、ここまで独学でやってきたので。だから、〝自分のイメージの中にある写真家〟に近いことをすればいいんじゃないかと思ったんです。
阿部
つまり、「写真家になるためには、星野道夫さんみたいな暮らしをすればいいんじゃないか?」っていうことですか?
岩崎
そうです、そうです。
阿部
はー! それは、思いつきそうで思いつかない発想ですね(笑)。
岩崎
とはいえ、星野道夫さんの生活も、ディテールまではよくわからないじゃないですか。
阿部
そうですよね(笑)。
岩崎
だから、「たぶん、こんな感じなんだろうな」ってことをやってるうちに、仕事としてやっていけるようになりました(笑)。

 
一同:ははははは(笑)!!
 

阿部
すごいな、その話!

 

 

岩崎
「写真家みたいなことをやれば、自分もそうなれるんじゃないかな」って思ったきっかけは、思想家の吉本隆明さんって方の本だったんですけど。
阿部
はいはい、吉本ばななさんのお父さん。
岩崎
そうです、そうです。もう亡くなっちゃいましたけど、あの人が本の中で、「イチローみたいになりたかったら、子どもの時からイチローとまったく同じことをやっていればいい」って書いていたんです。それを見て、確かにそうだなと思って。

実際に、子どもの時からイチローとまったく同じことをやるなんてことはできないんですよ。その他人には真似できない部分が、個性と呼ばれるんでしょうけど。だけど、好きな写真家と同じようなことをすれば、そのレベルまではいかないとしても、近いものにはなれるんじゃないかなって思って。

阿部
なるほどー。面白いですね、その話。すごく軽い言葉で言うと、〝形から入った〟ってことですよね。
岩崎
あぁ、まったくその通りですね。
阿部
「写真家っていうのは、たぶんこんな暮らしをしてるだろう」っていう想像に、自分の生活を寄せていったら、結果的に理想に近づいていったってことですもんね。
岩崎
はい。ただ、もしかしたら本物の写真家は、僕の想像とはまったく違う生活をしていたかもしれないですけどね(笑)。さっきも言ったように、僕が実践しているのは、自分が勝手に思っている写真家像の暮らしなので。
阿部
だけど、考えてみたら、それって夢を叶えるプロセスとしては正攻法ですよね。「こうなりたい」っていう夢を追いかけて、自らそこに向かっていくっていうことですから。
岩崎
そうですね。ただ、今もそうなんですけど、いわゆるアーティストとしての写真家になりたいって思ったことは一度もないんです。

橋を撮るためにはなるべく長く糠平にいる必要があって、それを実現するためにはサラリーマンという選択肢はなかったという順序なので。

阿部
「写真家になること」ではなく、あくまで「タウシュベツ川橋梁を撮り続けること」が、先にあった目的だったと。
岩崎
はい。この辺に住みながらできる仕事ということを考えたときに、パッと浮かんだのが写真を撮ることだったので。

 

 

岩崎
ただ、インターネットがなければ僕はこういうことはできなかったですよね。写真を撮り始めた頃は、まだISDNだったけど、ブログってものが世に出てきて、そういうのを使っていけばなんとかやっていけるんじゃないかなと思ってて。
阿部
はい、はい。
岩崎
世の中的にも、インターネットが普及すれば、東京の一極集中じゃなくて、今でいうリモートワークみたいなこと可能になって、田舎でも仕事ができるとか、ディテールはよくわからないですけどそういう話があって。

わからないなりに、「たぶん、こういうことなんじゃないかな」ってことをやっていたら、なんとなく思い描いていたような感じになっていったというか。

阿部
はぁー。たまたまかもしれないですけど、先を見越せていたんですね。
岩崎
結果的には、そうですね。まぁ、今はこういう状況になっているから「先を見越した」って話になりますけど、当然途中でポシャってた可能性もあるわけで。「塞翁が馬」(※人間の吉凶・禍福は転換し、予測できないことの喩え)っていうんですかね。
阿部
確かに、結果論ではありますけどね。
岩崎
タウシュベツにしてみても、自分ではあちこち旅行した先で見てきた中でも特にすごいモノだと思ってましたけど、撮り始めた頃なんかは、僕の写真がよくないっていうのもあって、ほとんど評価されませんでした。

だから、最初はそこまでして撮る価値があるのかわからなかったですけど、結果的には多くの人が訪れるようになって。初めてこの橋を見た人が、「こんなすごいモノは見たことがない!」とか言うと、今は「そうでしょう!」って思えますね。

阿部
えぇ。
岩崎
いつの間にか、世の中が価値を感じてくれるようになったんだなって。

 

 

—> 第7回:写真との向き合い方。橋との距離。

 

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