カート
北海道ローカルマーケット

北海道ローカルマーケット

商品をさがす
カテゴリからさがす
価格からさがす
読み物
ご案内
【岩崎量示】第8回:相手との関係性の中で生まれる〝自分にしか撮れない写真〟

【岩崎量示】第8回:相手との関係性の中で生まれる〝自分にしか撮れない写真〟

目次はこちら

阿部
今日お話をしていて、岩崎さんって、すごく考えるタイプのカメラマンなのかなと思ったんですよ。
岩崎
あー。
阿部
僕は仕事柄、いろいろなカメラマンの方とお会いするんですけど、カメラマンって〝考えて写真を撮る人〟と〝運動神経で写真を撮る人〟がいるなって思うんです。
岩崎
はいはい。あー、そうですね。
阿部
岩崎さんは、きっと運動神経で撮るタイプではないですよね。
岩崎
ないですね。運動神経で撮る人っていうのは、やっぱり撮れる人ですよね。撮ったら写真になる人。

僕が北海道に来るまで写真を撮ってなかったっていうのは、興味がなかったからなんですけど、なぜ興味がないかというと、撮っても下手だからなんですよね。シャッターを切っても、なかなか思うように撮れないっていうのがあって。

阿部
えぇ。
岩崎
だから、きちんと写真を撮っていこうと思った時には、本を買って勉強しました。そういう意味でも、運動神経で撮るタイプではないですね。
阿部
感覚派ではないタイプ。
岩崎
そうですね。僕、いわゆるアート系から写真の世界に入った人間ではなく、大学も経済学部だったんですよ。その立場からすると、本を買って勉強するっていうのは至極真っ当なアプローチだと思います。要するに、過去に学ぶっていう。
阿部
はい。
岩崎
アカデミックな世界では、よく「巨人の肩に乗る」って言い方をするんです。自分が巨人になるのではなくて、先人が積み重ねたものの上に立って考えるっていう意味で。

要するに、先行事例に学びましょうってことなんですけど。それは写真に対してもいえるはずなので、そういうアプローチを選びました。だから、どちらかといえば考えて撮るタイプだと思いますね。

 

 

じん
私は、岩崎さんの写真を見て、「写真の前に文脈があるんだろうな」って思ったんです。
岩崎
それは、僕が1番大事にしていることです。

撮り始めた頃は、そういうことまで考えてなかったんですけど、最近思っているのは〝文脈〟と〝即興〟っていう2つを写真に取り入れたいってことなんですよ。

じん
文脈と即興…ですか。
岩崎
はい。〝文脈〟というのは、「いろんなことを踏まえて撮る」ってことなんですけど。橋を撮るとすれば、それが作られた歴史なり、周りの環境なりを踏まえて撮る。この橋のことについて聞かれたら、1時間くらいは話せる程度のことはわかっておこうって。

〝即興〟というのは、「突然起きたことに反応して撮る」っていう意識なんですけど、例えば虹が出たり、キツネが現れたら、それに反応するっていう。その2つを混ぜたようなものを写真で表現したいなと思っていて。

じん
なるほど。
岩崎
さっき話した高校生のポートレートを撮る時も、普通だったら仕事でポートレートを撮る場合、順番に並んでパシャパシャ撮っていくのが正しいと思うんです。時間も長引かなし、光の調節とかもちゃんとできるので。
じん
そうですよね。
岩崎
だけど、今やってるのは、とりあえず空いた時間に高校へ行って、校内を歩き回ることなんです。最初は、生徒も「誰だろう、あの人」みたいな感じだったのが、半年くらいちょこちょこ顔を出していると、なんとなく馴染んできたというか。こっちから積極的に話しかけるわけじゃないんですけど、向こうもなんとなく認識してくれてるような感じになってきて。

そうなると、生徒たちが何か面白いことをやってる時に、「ちょっと写真撮らせてよ!」って感じでポンッと撮れたりするんですよ。そういうことをやっていきたいなって。

阿部
相手との関係性を築きながら写真を撮るというスタンスで。
岩崎
そうですね。その中で何かしらの反応が起きる瞬間を撮っていけば、写真の上手い下手は別にして、その時に、相手と僕との間でしか撮れないような写真になるのかなって。それって、他のカメラマンが撮った写真とは被らないじゃないですか。

綺麗な写真で勝負しようと思ったら、自分より上手い人が現れた時点で僕の役目はなくなっちゃいますよね。でも、この関係性を撮ってるんだとしたら、誰が来ても同じ写真にはならないので、なんとかやっていけるのかなって。

阿部
関係性の違いによって、目にする光景が変わってくると。
岩崎
だから、僕が撮ると時間がかかるんですよ。反射神経で撮れるタイプではないので。
阿部
撮れなくはないけど、ってことですよね。
岩崎
そうですね。撮ったところで、まぁ良くて中の上ですよね。写真の上手い人はたくさんいるので。

それでもまぁ、お金は貰えるにしても、中の上のものしか撮れないなら、写真なんてやらなくてもいいかなって気持ちはありますね。

 

 

阿部
ポートレートの話もそうですが、「効率よりも納得いく写真を」という岩崎さんの姿勢を伺っていると、商業的に写真を撮っているというよりも、やっぱり作品づくりをしているような印象を受けます。
岩崎
一応、撮った写真が世に出る時は、なるべく名前のクレジットを入れてもらうようにはしてるんですよ。そうすると、手抜きはできないですよね。

頑張っても上手く撮れない時もあるんですけど、手を抜いた上に下手な写真が自分の名前と一緒に世の中に出るとなると、単純に恥ずかしいですし、「こういう写真を撮る人なんだ」って思われたら当然仕事もなくなりますよね。だから、その辺は気を使っています。

阿部
撮った写真一枚一枚が、自分を知ってもらう名刺代わりになるわけですからね。それはやっぱり商業写真ではなく、作品だという感じがします。
岩崎
そうかもしれないですね。他の人がどうやって撮ってるのかわからないんですけど、たまたま僕の周りで親しくしてもらってる写真家の人たちは、そうやって撮ってる人が多いんです。そうなると、キャリアのない僕が手を抜いたらアッという間に消えちゃいますから。

今や写真は誰にでも撮れるものじゃないですか。下手したら、カメラよりもスマホで撮った方が綺麗に撮れることもあったりして。専門的な知識もいらないし。

阿部
えぇ、そうですね。
岩崎
そういう時代の中で、この先も写真を撮っていこうとすると、やっぱりいろいろと考えていかなきゃいけないですよね。自分の写真が売れなくなって、もうカメラマンとしては食っていけないってなった時に、キャリアを振り返ってみて、手抜きで適当に撮った写真が山積してたらすごく後悔すると思うんですよ。

「あー、あんなやっつけ仕事ばっかりやってたから俺は食えなくなったんだ」って思うよりは、「あれだけやったのにダメだったなら、もうスパッと諦めて次のフィールドにいこう」って思える方がいいなって。そう思いながら、写真を撮っています。

阿部
カメラマンとして、自分が後悔しないように。
岩崎
自分の周りを見ていても、やるところまでやって辞めた人の方が、気持ちよく次のステップに進んでいるので。微妙なところで燻ったまま辞めちゃった人は、やっぱり未練が残ってたりしますよね。僕も、写真を辞めるなり、続けられないってなる時には、やりきってから次に進みたいなって。

そうなるとやっぱり手は抜けないし、あとは時間をかけたくなりますね。「この仕事が最後になるかもしれない」って思っていると。

じん
あー、私も頑張ろう。
阿部
ねぇ。頑張ろう。

 

 

—> 第9回:「青空の日に撮った写真がベストとは限らないんです」

 

岩崎量示さんの商品一覧

  • 80年目のアーチ橋


    80年目のアーチ橋

    2,160円(税込)
    建設から80年目を迎えた旧国鉄士幌線のコンクリートアーチ橋を記録した写真集

関連記事

メルマガ会員募集中!

北海道の暮らしと魅力を、
店長・じんちゃんがお届けします