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【ki-kiru】第3回:「技術習得に必要なのは時間ではなく、トライアンドエラーを繰り返した数」

【ki-kiru】第3回:「技術習得に必要なのは時間ではなく、トライアンドエラーを繰り返した数」

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阿部
斗沢さんが、クラフトの仕事を始めたきっかけは何だったんですか?
斗沢さん
もともとは、印刷会社に勤めてたんですよ。印刷屋の中でも紙の加工部門。何万とか何十万って数の同じ物を、すべて同じ素材・品質で作るっていう。そこが割と大きな会社だったんで、とにかく〝標準化〟ってことを求められる職場で。
阿部
物を大量生産する場合、品質にバラツキがあってはいけないですもんね。
斗沢さん
そう。会社として提供する品質なので、当然のことながら誰がやっても同じ結果になるような物を作らないといけない。その中で、俺は自分が作った物は誰よりも品質が良くって早いんだっていう自信を持って働いていたので、そのことで評価されることにやりがいを感じてたんですね。
だけど会社がどんどん大きくなっていくと、色んなコンサルとかが入ってきて、品質の標準だとか、作業場はこうあるべきだとか、何もかも誰かの言うとおりに決められていくんですよ。
阿部
効率を求めてマニュアル化されていくわけですね。
斗沢さん
その結果、自分じゃなくて新入社員がやっても変わらないような仕事が多くなっていって。「自分が作ったんだ」って言えるものがないことが、なんか寂しくなっちゃって。で、何もかも自分の責任でやりたいなって思うようになったんですよね。
阿部
物を作っているという手応えを求めて。
斗沢さん
そう。自分で作った物を、売り切るというようなことを探してたんだよね。それくらいの時期に、ウチのやつがお母さんを面倒見ることになって同居が始まったんですよ。だけど、お母さんの家財道具が一切なかったので、俺が作ることになって。お金があればね、どんどん買えるけど、でも予算がなかったので、俺が日曜大工で作るかって。それで、最初は化粧台を。

 

 

阿部
もともと日曜大工みたいなことはやってたんですか?
斗沢さん
いや、道具も何も持ってなかったですね。全然嫌いではないんだけど、会社がものすごく忙しくてね。24時間稼働する印刷所だったし、ある程度責任ある立場だったから、朝でも夜でも何か問題があると会社にいなきゃいけなかったので。家に帰っても電話がかかってきて、すぐ出て行ったりね。

問題が起きたら、その場で解消しないと納期遅れになっちゃうし、ひとつの作業が遅れたら他の仕事にも響いてきちゃうから。そんな職場だったから、日曜大工をやる暇はなかったですね。

阿部
そんな中で、いきなり化粧台を。
斗沢さん
だから大変でしたよ。電動ノコギリとかそんな物も持ってないから、手ノコで木を切るんだけど、全然思い通りにならなくて。例えば、木を縦方向に切るのって、実はすごく特種なことなんですよ。挽き割りっていうんだけど、丸太を板にするんだったら、製材工場行って専門的な機械でないとできないんだけど、それを手でやろうとしてて。今だったら、手ではできないってわかるんだけどさ。
阿部
僕も知識や経験がないので、何となく手でも切れちゃうような気がしちゃいました。
斗沢さん
でしょ(笑)。それが上手くいかないんだよ。それで、大工道具屋さんに行って相談したのかな。そしたら、「そんなことはプロでもやらない」って言われて。それからネットで色々と調べていくうちに、だんだんといろんなことがわかるようになってきて。

技能職が長いんですけど、俺は技術なんて10年とか20年とかかけて身に付けるものじゃないと思っていて。結局、ノウハウと道具さえあれば自分でなんとかできるっていうか。もちろん、いきなりは無理だけど、トライアンドエラーを繰り返していって、それを短時間に何回も何回も繰り返して正解を求めていけばできるようになるって。そういうことは、印刷屋に勤めている時から思ってたんで。

阿部
印刷会社での経験が、具体的な技術としてではなく、自分なりに技術を習得してきたという点で活かされたんですね。
斗沢さん
技術習得に必要なのは時間ではなく、トライアンドエラーを繰り返した数だっていう持論があったので、きっと木工でもそういう風になるはずだと思ってやっていたら、だんだんとできるようになっていったんですね。

それで、こういうことができるなら、標準化をベースとしたもの作りへの不満を解消できるような仕事ができるんじゃないかと思って。それが、今の仕事を始めたきっかけですね。

阿部
会社に勤めていて「自分が作ったんだ」という手応えが失われていったことと、日曜大工をやってみて作り手として生きていくという手応えが得られたというのが、今の仕事を始めるきっかけになったんですね。
斗沢さん
うん、そう。教えてくれる人がいたら、ちゃんといろんなことを身につけられるだろうけど、その時は働いてたし、家族もいたし、いい年だったので。技術学校に行くだとか、師匠の門を叩いて弟子入りするだとかは時間が無駄ではないけど、もったいないなと思って。
阿部
それよりは自分の手を動かして、技術を身につけていこうと。完全に独学で。
斗沢さん
もう全部独学ですね。最近は、「漆をやったらいいのに」って言われることが多くなってきたので、やりたいなと思ってるんだけど、なんせ稼がないと継続できないので。研究する時間をちゃんととれるようになったら、漆もやってみたいなと。

 

 

—> 第4回:誰の助けもない代わりに、何の障害もなく自分を表現するという姿勢

 
 

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