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【ki-kiru】第8回:木を伐る職人が考える、自然との向き合い方

【ki-kiru】第8回:木を伐る職人が考える、自然との向き合い方

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阿部
〝木の生き様〟とか〝素性の知れない木〟とか、斗沢さんのお話を聞いていて、木に向き合う姿勢がすごく真摯だなと感じたんですけど、その上でひとつ聞きたいことがあって。
斗沢さん
はい。
阿部
あのー、木を伐ることって、森林伐採とか自然破壊的な意味で語られることもあるじゃないですか。その辺りについて、木工を生業にしている人は、どういう考え方を持っているのかっていうところが聞きたくて。
斗沢さん
うーんと、今の俺の立場でっていうことで。
阿部
はい。

 

 

斗沢さん
まず、もともとアウトドアがすごく好きで、環境問題についての記事とかを読み漁ってた時期があるんですよ。それで思ったのが、開発する側も、保護しようとしている側も、もっともらしいことを言ってるんです。環境保護団体とかの自然を壊すなって主張ももっともだし、経済活動をしていかないとこの社会が維持していけないっていう開発側の主張も嘘ではないというか。
阿部
ええ。
斗沢さん
実際に、自然に関わる仕事をするようになってからは、大量生産大量消費、つまり、いっぱい作っていっぱい安く売って、売れ残ったら処分っていう、それがダメなんだなと思うようになりました。木を伐るにしても、魚をとるにしても、反対する人はいるんだけど、同時に必要としている人もいるわけで。やっぱりバランス感覚ってのが大事なんだろうなって。

例えば、肉を食べることに反対だという人がいて、個人の考えとしてはもちろん尊重するべきだと思うけど、だからといって肉を食べる人とか加工業者とかを攻撃の対象にするのは行き過ぎかなって。そこは、どっかでバランスのいい立ち位置っていうか、考え方を持っていないと。自分の正義に従ってやってることなのに、もう社会から見向きもされないようになったら仕方ないというか。

阿部
そうですよね。
斗沢さん
木を伐ることに関して、今後、生産が追いつかないくらいに注文がきて、どんどん木が必要になった時に、どういう考え方になるかはわからないけど、今の状況でいえば、倒木撤去の依頼を受けて伐った木とか、人から譲ってもらった木とかで十分に商品を作れているから、個人的には十分だなと思ってます。

ただ、俺だけが木工をやってるわけじゃないし、この場所のように素晴らしい環境で仕事をしている人ってのはむしろ少数なので、業界全体のことを考えるとちょっと複雑な気持ちはあります。

阿部
はい。
斗沢さん
それぞれの事業者の生活を維持しようと思ったら木は必要だけど、国内はここなんかより全然木が伐れない場所が多い。だから、大きな木材屋さんとかは、海外に目を向けて、現地の人たちからすごく安く木を買って、日本に持ってくる。伐採調整がきちんとされていたり、必要な分だけ使ったりができていたらいいんだけど、自分たちが大量に物を消費するせいで、そうやって、間接的に木を伐採するのはすごく嫌だなって。なんとかならないのかなって思う。
阿部
自分の国では自然を破壊せず、心が痛まないようにして、その分の負担は他所の国に押し付けるというか。自分の手の届く範囲で経済が回ってないってことですよね。
斗沢さん
情報が何もかも正しくて、みんなが同等に持ってる中での意見交換だったらいいんだろうけど、実際はそうじゃない。食べ物だって、市場にだすものと家族の分は別に作るっていう生産者だっているわけじゃないですか。だけど、食べ物を作る生産者の人がいないと、みんなが食べる物を得られないというのが実情なわけだから。
阿部
そうですよね。
斗沢さん
そしたら、みんなが自給自足すればいいのかっていったら、多分ね…困っちゃう。
じん
できない人もいますからね。
斗沢さん
何が安全かっていうと確実なものってなくて、情報が少ない中で、それぞれでいい悪いを決めるしかないから。

 

 

斗沢さん
どこの国だか忘れちゃったけど、宗教上の理由で、鳥は食べてもいいけど、殺しちゃダメっていうところがあって。その地域の隣で殺すんですね。で、その肉を持ってきて食べる。食べるだけだからオッケー、自分たちは鳥を殺してないって。それでいいのかと思うけど、そうしないと丸く収まらない。全部ね、解決できるような話なんてないと思う。
阿部
うーん。
斗沢さん
環境保護の人たちがものすごく過激なことをやらないと、際限なく開発する側の自由を奪えないということも少しわかる。でもそれをやっちゃうと、周囲まで敵に回すようなことになる可能性が付きまとう。特に小さいコミュニティーでは変人扱いになっちゃうから、やっぱりバランス感覚だと思うんですよね。
じん
そうですよね。
斗沢さん
今は自分の材料の消費のことなんだけど、そういう形で材料を維持できるので精神的にはいいんですよ。無駄に伐ってないから。で、使えるところ、普通の人は投げちゃうようなところまで全部使って活かす。本当に使えない部分だけ薪として暖房にする。だから、いいんだっていう風に今は思えてる。
阿部
自分の筋が通ってますもんね。
斗沢さん
今はね。ただまぁ、経済的には維持するのが厳しいんで、もっと利益が出るようなことを考えていかないと。それを、どうやるかっていうのは都合の良い言い方だけど、「これは作らない」とか「先のことはそんなに決めない」ってことで、そうすることで精神的にはやりやすくなるかなと。

せっかく、しがらみから離れて自分の理想のスタイルにしたので、この先も自分の思った通りというか、自分が正しいと思えることをやっていきたいですね。

阿部
斗沢さんが、今後、どんな風に木と付き合って、どんな作品を作っていくのか楽しみにしています。

 

 

文:阿部光平
写真:澤田希望

 
 

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