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【乳life】第8回:新しい時代の酪農家が語る〝理想の暮らし〟

【乳life】第8回:新しい時代の酪農家が語る〝理想の暮らし〟

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阿部
インタビューの最後に、坂根さん夫婦が思い描く〝理想の暮らし〟っていうのを聞きたいんですけど、「今後こういう暮らしがしていきたい」というビジョンはありますか?
遼太さん
なんかその、忙しいのが正直好きじゃなくて。でも忙しくした方がいいのかなって揺らぐときもあるんですよね。僕は規模拡大も考えたいし、ゆっくりマイペースでもやりたいし。
晃子さん
やっぱり家族の時間とかも取りたいじゃないですか。こういう仕事だから、基本的に休みっていうのがないですし。
阿部
そうですよね。
晃子さん
うまく休みを取って、旅行に行ったりしている酪農家さんもいるんだけど、規模拡大してってなったら休みなんてとれなくなっちゃうから、それは嫌だなって。私は(笑)。
遼太さん
だから、規模を拡大して、なおかつ、ちゃんと休めるっていうのが一番の理想です。そのためにも、いろんな経営者から話を聞くっていうのはすごい勉強になりますよね。特に畜産の人。畜産はまず誰かが働かなきゃいけない仕事じゃないですか、生き物が相手なんで。だけど、人を雇ったりして上手く回してるところいっぱいあるんです。

そういうやり方をしようと思ったときに、雇った人もやっぱり同じような豊かさで仕事をして欲しいから、そこらへんはすごく慎重に考えています。

阿部
アメリカの農場で経営者に憧れたってお話があったじゃないですか。一方で、坂根さんは現場の面白さをすごい感じているように思えるんですけど、現場で働くことに対するこだわりはありますか?
遼太さん
うーんと、離れても全然いいかな。でも完全にっていうわけじゃなくて、土とか大事なところはやりたいですね。
阿部
僕、昔オーストラリアの畑でブドウを採る仕事をしていたことがあるんですけど、そのときのボスが経営者でありながら、畑やブドウにすごく詳しい人だったんですよ。その人は、いつも畑にいるわけじゃないけど、言葉にすごく説得力があって。現場から上がってきてる人だからだと思うんですけど。
遼太さん
まさに、そういう人になりたいですね、僕も。これから酪農をやっていく上で、人と会ったり本を読んだり、インプットの時間ってすごく大事だと思ってるから、自分のためにも会社のためにも人を雇いたいって気持ちはすごくあるので。
阿部
そういう考え方がやっぱり新しい農家さんって感じがしますね。実際、若い世代の農家さんには、親の世代のやり方に疑問を持ってる人も多いと思うんですけど。
遼太さん
まぁ、結局は行動するかしないかですよね。アクションを起こすのって、面倒くさいから。だからなんとかね、モデルを作りたいですよね。
阿部
成功事例を?
遼太さん
そうですね。わかりやすい成功事例をね。週休二日にするとかさ。あとは、本当にわかりやすく、ベンツを乗り回すとかね(笑)。そういうことでもいいのかなって。
阿部
そういう人がいると、きっと後に続こうと思う人も出てきますよね。
遼太さん
でもね、酪農とか農業って本当に可能性があるし、実際にそういうのを目の当たりにしてるんで、なんかもうヤバイですね。焦る。
阿部
焦る?
遼太さん
だってもう、まだまだやれることがたくさんあるんだもん。若い農家の人でも「どうしたらいいのか迷ってます」とか言う人がいるけど、そんなこと言ってる場合じゃないよって思いますよね。

【写真】人よりも動物が好き、という晃子さんさんは放牧地が似合います。「普段はあんまり行かないんだけどね」とのことで、貴重な一枚。

ーーー

 

遼太さん
酪農って大変だって言われることが多いじゃないですか。だけど、僕、コンビニでバイトしたことあるんですけど、それよりストレスとかはないと思うんですよ。絶対。絶対ストレスはないと思います。
阿部
人間関係の悩みとか?
遼太さん
ないですよね。相手は牛だし(笑)。

あと、時給換算したら給料もいいですよ。北海道だとコンビニバイトの時給は800円とかだけど、酪農家って大学生でも時給1000円くらいですから。だから、集中して働いて、あとは目一杯あそぶみたいな暮らし方も難しくないですよ。

阿部
ワークライフバランスが整っていると。
遼太さん
うん。だけど、京都で九条ネギをやってる社長さんが「ワークライフバランスなんて、ワークとライフを分ける人が使うもんや!」って言ってて、本当にそうだなぁと思ったんです。というのも、経営者って、ワークとライフがほとんど一緒なんですよね。
阿部
あぁ、仕事と暮らしが分かれていない。
遼太さん
うんうん。混ざっちゃうっていうか、完璧には切れないですよね。オフだって、牛が体調悪かったらワークするし。

まぁ、そこら辺は家族もちゃんと理解してくれてるから、仕事の合間に家族で昼飯食ったりもできるし、ワークもライフもごっちゃですね。だけど、両方とも大事だから、手抜きしないように努力はしてます。

阿部
そこら辺も、さっきの話にあった農業に可能性を感じてるって部分ですかね。
遼太さん
うん。だから、もっと働きやすい仕組みを作れば、農業やりたいって人も増えるんじゃないですかね。そういう仕組みを作りたいです。
阿部
それこそ、一昔前の農業には、きつい、汚い、危険の〝3K〟みたいなイメージがあったじゃないですか。そういう感覚は、今はないですか?
遼太さん
1個ずつ減らすって感じですね、最近は〝新しい3K〟っていって、格好いい、高所得、感動がある、みたいなポジティブな3Kが語られることがあるんですよ。
阿部
はい、はい。
遼太さん
格好いいにはもちろんなりたいし、高所得もなりたいし、仕事に感動があった方がいいですよね。だから、やっぱりそういうモデルを作りたいですね。週休二日で月40万くらいだったら、多分やりたい人いっぱいいると思うんですよ。
阿部
そういう風に、農業のイメージ変えたいって想いもあるんですか?
遼太さん
もちろん、あります。
阿部
先陣切って。
遼太さん
うん。だから、今は週休二日の酪農家になりたいなと思っています。それを普通にやってのけたいっすね。
阿部
そういうゆったりした暮らしがあって、それでいてちゃんとご飯を食べれているっていう事例があると、農業に魅力を抱く人が増えていくでしょうね。
遼太さん
そう考えると、すごくやる気が出ますね。

 

阿部
今後の『乳life』については、どのように考えていますか?
遼太さん
チーズ初めてからは、出会う人全員がお客さんだと思ってるんですけど、だからといって「チーズ買ってください」ってことはまずやらないんですよ。それよりも、出会って繋がることでいろんな話が聞けたり、「遊びにっていい?」とか言ってくれる人がいて、別にチーズを買ってくれなくても僕にとってはそれが収入みたいな感じなんです。
阿部
お金ではない対価を得てるというか。
遼太さん
そうですね。だって、ここだけにいたら出会いなんて限られるじゃないですか。だけど、一歩外に出ればいろんな人と繋がれるし、遊びに来てくれたらあげられる物もあるし、それを喜んでもらえるっていうのはこっちも嬉しいじゃないですか。

それに、自分が見に行った牧場の加工品とか、自分が触った牛の乳を使って作られたチーズを食べるって、それってスーパーじゃ絶対に体験できないことなので。

阿部
そうですよね。
遼太さん
そういうチーズの在り方って、けっこう今の時代に合ってるとも思うんです。

だから、「EUから安いチーズ入ってくるけど、どう思いますか?」とか聞かれることがあるんですけど、酪農家としてはもちろん反対だけど、チーズだけを考えたらうちはあまり影響ないかなって。値段勝負になるから大手はきついと思うんですけど、うちはモッツァレラで600円とかするから、最初から価格では勝負できないんです。

阿部
戦い方も、お客さんの層も違うってことですね。
遼太さん
うん。うちがやるべきは、この600円の価値を伝えることと、その価値を磨くことなんです。

【写真】「あきさん、可愛いね」って写真を撮りだした坂根さん。素敵な夫婦です。

ーーー

 

阿部
なるほど。『乳life』のこともそうですし、土のこともそうですし、これからの暮らし方も含めて、10年後、坂根さんがどんな酪農をしているのか楽しみです。
遼太さん
楽しみですね。土は絶対に良くなってると思ってます。時間はかかりますけど。カフェもオープンできてるといいなぁ(笑)。
阿部
そうですね! 今日はすごく面白かったです。ありがとうございました!
遼太さん
いえいえ、こちらこそありがとうございました。次はバーベキューでも食べに来てください(笑)。

文: 阿部光平
写真:澤田希望

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